「天然木化粧繊維板って何?」
「メリットやデメリットは?」
「他の材質とどこが違うの?」
家具に使われる材質には色々ありますが、ちょっとわかりにくいのが「天然木化粧繊維板」じゃないでしょうか。
無垢材や突板などとの違いや、天然木化粧繊維板のメリット、デメリットをまとめてみました。
家具の表面材の種類と違い
家具で茶色のものを見たら「全部が木を使っている」と思うかもしれませんが、実際にはかなりの違いがあります。まずはそこをまとめてみました。
無垢材
丸太から木をカットして板にしたもの。
家の材料としての無垢材の場合は一枚の板を指す場合が多いのですが、家具の場合の無垢材というと小さい何枚かの板をくっつけて大きな板にしたモノ(これを集成材とも呼びます)も無垢材と呼ばれます。
突板(突板)
無垢の板をスライスしたり、丸太を大根のかつら剥きみたいにスライスすることで、天然木のシートを作り、それを他の材(芯材)の表面に貼り付けたモノ。
表面は天然の木(厚みは0.25ミリくらいが主流)だけど、板の中身は
- 集成材(安い無垢材など)
- 合板(ベニヤ板などの薄い板を貼り合わせたモノ)
- MDF(木の粉を圧縮させて板状にしたモノ)
- パーティクルボード(木の破片を固めて板状にしモノ)
などいろいろあります。
また上のような材料を板状にせず角材を使って、フラッシュ構造になったモノも。
フラッシュ構造とは、漢字の「田」の字のように格子状に組み合わせて芯材とし表面にベニヤ板などを貼り板状にしたモノで、まったく木のない空洞の部分があるのが特徴。
(空洞部分に段ボール材などを詰めたモノも)
これらの芯材(板の中身)に関しては、下にあげるいろんな合板や繊維板とも同じ構造となります。
天然木化粧合板
天然木化粧合板とは、ベニヤ板などの薄い板を重ねた合板に天然木のシートを貼り付けたモノです。
つまり上に書いた、表面材が突板で芯材が合板を使っているモノの名称。
材質のところに「突板」と書いているモノもあれば、より詳しく「天然木化粧合板」場合もあり、基本的には同じものです。
天然木化粧繊維板
天然木化粧繊維板とは、同じく突板を貼り付けていますが芯材にMDFなどの繊維板と呼ばれるボードを使ったモノのことをいいます。
天然木化粧合板と同様に、突板を使ったボードで芯材がどのようなものかを詳しく表現した名称が天然木化粧繊維板となります。
合成樹脂化粧合板
合成樹脂化粧合板とは、芯材(板の中身)に合板を使い表面材として木目などの模様の合成樹脂シート(ポリエステル・オレフィン・メラミンなど)を貼り付けたモノ。
いわゆる天然木を使った家具とは異なります。
合成樹脂化粧繊維板
合成樹脂化粧繊維板とは、表面に合成樹脂のシートを貼り芯材(板の中身)がMDFなどの繊維板を使ったモノの名称。
木目の模様なのでパッと見はわかりにくいのですが、合成樹脂化粧合板と同じく天然の木は使われていません。
プリント紙化粧合板
プリント紙化粧合板とは、合板の芯材に木目などを印刷した紙を貼り付けたモノの名称となります。
木目調なのですが、当然の事ながら表面に天然の木は使われていません。
プリント紙化粧繊維板
プリント紙化粧繊維板とは、芯材にMDFなどの繊維板を使い表面に木目などの印刷がされた紙を貼り合わせたモノ。
最近はプリント紙の質が上がったので、天然木と見間違うくらいのモノも。
天然木と合成樹脂とプリント紙の違い
では表面材の
- 天然木
- 合成樹脂
- プリント紙
の特徴やメリット・デメリットについてです。
天然木
天然木としては無垢材・突板がありますが、それらを使っているメリットとしては、
- 木の温もりを感じられる
- 経年変化(月日が経つにつれて増える味わい、みたいなモノ)を楽しめる
- 無垢材だと強度が高い
- 傷の修理ができないこともない(無垢材に限る)
- 手触りがいい
などがあり、逆にデメリットとしては、
- 値段が高い
- 重い(モノによる)
- 反りや割れの可能性(無垢材の場合)
- 手入れが必要
- 水に弱い場合も(オイル塗装のモノなど)
などがあげられます。
合成樹脂
合成樹脂のメリットとしては、
- プリント紙よりも丈夫
- モノによっては傷や熱に強い
- 水に強い(モノによるけど)
- 木目調のモノもある
- 天然木よりも安い場合が多い
逆にデメリットとしては、
- 天然木特有の質感はない
- 天然木と比較すると安っぽいモノが多い
- 傷の修理は難しい
などがあります。
プリント紙
プリント紙を使った家具のメリットとしては、
- 安い
- 反りや割れはほとんどない
- モノによっては天然木のような質感のモノも
気になるデメリットは、
- 傷に弱い
- 水に弱い
- 安っぽい
などがあります。
天然木化粧繊維板のメリット
ここまでの事を踏まえて、天然木化粧繊維板と呼ばれる材を使った家具のイイところをまとめてみました。
天然の木を使っている
表面材には天然の木をスライスした突板が貼られているので、合成樹脂などと違って見た目の雰囲気や質感がとてもいいです。
天然木はやっぱりいいです。
手触りがいい
また、無垢材ではないですが突板(=天然木)を貼っているので、木特有の柔らかい手触りも楽しめます。
気にならない人には、どうでもいいかもしれませんが。
木目がきれい
やっぱり合成樹脂やプリント紙などの木目の模様とは違って、本物の木目はきれいな気がします。
気のせいかもしれませんが。
継ぎ目がない
木目がきれいかどうかは気のせいかもしれませんが、ただこちらに関しては、天然木の中でも突板を使った家具のメリット。
無垢材の場合、一枚の板を使った家具以外は集成材といっていくつかの板をくっつけて大きな板にしているので板同士の継ぎ目ができます。
ところが突板の場合は、丸太をかつら剥きのようにしてシートをとったりするので、継ぎ目がない、あるいは目立ちにくい仕上げとなっています。
反りが少ない
天然木は切り取った後も、水分を吸収したりする(呼吸をすると言われる)ので、板自体が反ったり場合によっては割れることもあります。
ところが天然木化粧繊維板の場合は、表面は天然木の突板を使っているものの中身が気の繊維を圧縮したモノなので、反りなどの可能性はとても低くなります。
安い
基本的に板の中身は気の繊維を圧縮したボードを使っているので、無垢材よりも間違いなく安く仕上がります。
突板の質や種類にもよるのですが、一般的には価格は抑えられたものが多くなります。
高級材を楽しめる
木の種類で人気のモノといえば、
- ウォールナット
- オーク(ナラ)
- タモ
などいろいろありますが、基本的には無垢材だとけっこうな値段になるので、手が届かないなんてことも結構あります。
ところが突板を使った天然木化粧繊維板なら価格が抑えられているので、一般的には高級材とされる種類の木を使った家具にも手が届きやすくなります。
天然木化粧繊維板のデメリット
そして、天然木化粧繊維板の残念なところ、デメリットです。
大きな傷で下地が見える
突板は0.25ミリといった厚みなので、何らかの傷がついた場合に下地が見えてしまうという可能性があります。
傷が大きいと、あきらかに上から貼っているのがわかってしまうので、無垢材にはない大きなデメリットといえるでしょう。
修理はまず無理
また傷がはいったときに無垢材なら知識とある程度の技術があれば修理も可能です。
(限度はありますが)
ところが突板の場合は、基本的に素人では修理は無理です。
プロに頼むとそれなりに修理してくれるところはありますが。
経年変化を楽しめない
家具は使っていくうちに傷などがついていくのですが、無垢材の場合はそれが味わいとなります。
(そう感じない人も見ますが)
ところが天然木化粧繊維板など無垢材を使っていない場合には、上に書いたように傷によって下地が見えてしまったりなど味が出るというよりはただの劣化になります。
突板の場合は色の変化を楽しんだりとまだマシなのですが、天然木を使っていない家具だと余計に劣化を感じてしまうでしょう。
水に弱い
家具は基本的に水や湿気に弱いですが、無垢材ではなく繊維板の場合は特に水に弱くなります。
もし繊維板がむき出しになったところに水が当たっていたら、水分を吸収してしまいブヨブヨになってしまうことも。
天板に水が付いてすぐにダメになるといった事はあまりないと思いますが、注意は必要です。
剥がれる可能性
それほどないとは思いますが、角に傷がはいったりした場合に、その部分から突板がはがれてくるといった可能性は考えられます。
何もないのにいきなり剥がれてくる、となるとかなり質が悪いと言わざるを得ませんが。
天然木化粧繊維板のまとめ
天然木化粧繊維板は、表面に突板を貼りつけた仕上げとなります。
表面に何か貼っていると聞くと、
- 剥がれてくる
- 安っぽい
- 劣化品
といった印象を受ける人がいるようです。
もちろん
- 合成樹脂化粧繊維板(化粧合板)
- プリント紙化粧繊維板(化粧合板)
の場合はそう思われるのも一理あるのですが、天然木化粧繊維板(化粧合板)の場合は、天然の木をスライスした突板を貼り付けています。
天然の木を使いたいけど価格を抑える、という目的のもとに作られたモノであり、決して安かろう悪かろうではありません。
(もちろんモノにもよりますが)
でも無垢材より劣っている部分があるのも事実。
(木目の継ぎ目がないなどのメリットもありますが)
予算と、好きな木材をしっかり考えて、比較検討してみるのが大事です。
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